くまのみ皮ふ科クリニック

一般皮膚科

診療案内

手湿疹

炊事や洗濯など水仕事をする主婦に多いため、主婦湿疹と呼ばれることもあります。
手を洗う回数の多い調理師、医療従事者や、シャンプーやパーマ液を使う美容師などに多く認められます。手の甲・ひら・指・指先のかさつきから始まり、ひどくなると皮むけ、赤み、腫れ、水ぶくれ、ひび、あかぎれ、じくじく、かゆみなどが生じます。基本的には特別な検査をしないでも診断がつきますが、水虫や指間カンジダ症(いづれもカビの一種)が疑われる場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡検査をすることがあります。

治療

ステロイド外用薬と保湿剤の塗布が治療の基本になります。かゆみの症状が強い場合には抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服が必要な場合もあります。
原因となっていることを中止すると改善していきますが、家事や仕事でどうしても止めることができず、なかなか治らないという方も少なくありません。
洗剤や化学物質などに触れないように、手袋をして手を保護する必要があります。ゴム手袋をすることを習慣にして、ゴム手袋だけでは蒸れてしまうようであれば、綿の手袋をしてからゴム手袋をするといいでしょう。

皮脂欠乏性湿疹

いわゆる乾燥肌による湿疹で、人によっては毎冬繰り返します。基本的には皮脂の分泌が低下する高齢者に多く発症しますが、最近は若い人や子どもでも増えており、アトピー性皮膚炎の素因を持つ人や、石けんやボディーシャンプーを多用する人などにもよくみられます。皮膚の乾燥が進むことによって、皮膚表面の角質がポロポロと剥がれ落ちたり、ひび割れといった症状が引き起こされます。また、皮膚のバリア機能が損なわれるため、些細な刺激に対してヒリヒリとした痛みや、かゆみを伴うのも特徴の1つです。特にかゆみを伴う場合は、掻きむしることで皮膚にできた小傷から細菌が侵入して感染症を引き起こしたりするケースも少なくありません。

治療

乾燥を防ぐのが第一です。洗いすぎると皮脂が失われるので、入浴による洗いすぎが疑われる場合はまず入浴の習慣や頻度を変えることやゴシゴシと皮膚を擦らず優しく洗ってください。高齢で皮脂の分泌が低下している方においては、毎日入浴するのではなく1日おき、もしくは2日おきに入浴するとよいでしょう。脱脂力の強いボディーシャンプーを使用してる方はお肌に優しいものに変更しましょう。
また必要に応じて保湿剤も使用してください。入浴後1時間以内に保湿することが大切です。湿疹が起きている場合はかゆみ、炎症をおさえるステロイド外用薬を処方しますので、保湿剤の後に塗ってください。ステロイド外用薬は湿疹が治り次第中止して、保湿剤のみの使用に切り替えるようにしてください。

かぶれ(接種皮膚炎)

何らかの刺激物質や、ある特定の物質が皮膚に触れたときにおきる皮膚炎のことです。酸やアルカリなどの刺激物質によるものを「刺激性接触皮膚炎」、うるしや金属などのアレルゲンとなる物質によるものを「アレルギー性接触皮膚炎」といいます。かゆみやヒリヒリするような痛みをともなったり、皮膚が赤く腫れあがったり、ジュクジュクした水ぶくれやただれ、ブツブツなどの症状がみられます。

治療

ステロイド外用薬の塗布と抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服が基本になります。重症の場合は、ステロイド内服や点滴といった全身投与を行なうことがあります。
また接触皮膚炎の治療においては再発を繰り返さないためにも原因の特定および除去が非常に重要です。接触皮膚炎の原因となるアレルゲンを調べるには採血ではなく「パッチテスト」を行う必要があります。パッチテストは背中や腕に原因と疑われるアレルゲンを貼って48時間後、72時間後、1週間後にかぶれの症状が起きているかの判定を行います。
なので当院で検査可能な曜日は 水曜日、土曜日のみ となりますので、ご注意下さい。
金属が原因として疑われる場合は鳥居株式会社のパッチテスト試薬金属15種による「金属パッチテスト」を、原因がいま一つはっきりしない場合は日本人がかぶれを起こしやすい22種の物質を同時に調べる佐藤製薬の「パッチテストパネル®(S)」による検査を行っております。 化粧品や毛染めなどあらかじめ原因となるアレルゲンが分かっている場合にはそのものを直接クリニックに持参 していただき、パッチテストを行う事も可能です。

※パッチテストを希望される方への注意点
  1. 本人持参の化粧品やシャンプーなどでパッチテストを希望される場合には、検査用にあらかじめ濃度調整する必要がありますので、事前にスタッフにご確認下さい。
  2. 検査中は入浴や、汗をかく運動等は出来ません。(基本的には涼しい時期の検査をお勧めしています。)
  3. ステロイド薬や免疫抑制剤を内服されている方はそれらの薬でパッチテストの反応が抑えられるため出来ません。
  4. パッチテストを行うことで新たにかぶれを生じることや、陽性反応部位に色素沈着が残ったり、テープ負けをしたりするおそれがあります。

虫さされ

虫さされとは一般的に、虫によってかゆみや赤み、ときには腫れや痛みを起こした状態をさします。虫さされは様々な種類の虫によってひき起こされます。蚊やマダニのように吸血のために口吻にさされる場合や、毛虫の毛にさされて起こったりもします。またハチは相手を攻撃するために毒針をさします。ムカデやアリ、クモなどの場合は「さす」ではなく、「かむ」になります。
かゆみや赤みは虫にさされたすぐ後から起こることが多いですが、ハチやムカデなど虫の種類によってはさされた直後より1~2日経ってからの方が腫れや赤み・痛みがひどくなることがあり、その頃になってあわてて病院に来られる方もいらっしゃいます。虫さされをかきこわしてしまうと、そこから細菌感染が生じ、とびひになってしまったり、蜂窩織炎になってしまう可能性もありますので注意が必要です。
ハチにさされたことがある人の中には、まれにハチのアレルギーになる人がいます。ほとんどの人はハチにさされたからといってアレルギーにはならないので、あまり心配する必要はないのですが、仕事や趣味で山歩きをするなどハチにさされる機会や可能性があり、以前にハチにさされたことがあってアレルギーが心配な方は、気軽にご相談ください。

治療

ステロイド外用薬で患部の炎症を抑えます。
かゆみの軽減を目的として外用薬に加えて抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)を処方する事もあります。症状が強い場合は、ステロイド内服薬や注射を行う場合もあります。

  • ハチアレルギーの人はエピペンなどの自己注射薬を医療機関であらかじめ処方してもらい、ハチにさされたときには自分ですぐに注射できるようにしておく必要があります。当院ではエピペンを処方する際に、自分で間違い無く注射出来るようになるまでしっかり何度でも指導いたしますのでご安心ください。

脂漏性皮膚炎

頭部や顔面のTゾーンなどの皮脂の多い場所に生じる慢性に経過する皮膚炎で、中年以降に好発します。わきや胸、背中や陰部などにも見られる事があります。症状はかさつきや赤みで、ときに痒みを伴います。頭のふけが多いことを主訴に受診された方がこの病気である事もよくあります。
皮膚に常在しているマラセチア菌や皮脂分泌、肥満、ストレスなど、さまざまな生活習慣や環境要因が重なって発症すると考えられています。いったん改善しても再発することが多いです。

治療

抗真菌剤の外用薬やステロイド外用薬を使用します。痒みがある場合は抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)を、肌状態の改善を目的としてビタミンB製剤を処方する事もあります。
喫煙や飲酒はなるべく控え、高カロリー食や高脂肪食も控えてバランスのとれた食事をしてください。充分な睡眠をとり、規則正しい生活をおくることも症状の改善につながります。

アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎では、皮膚の"バリア機能"(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることや皮膚に炎症があることが分かっています。外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びつき、炎症を引き起こします。また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて、かゆみを感じやすい 状態となっており、掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥っています。

治療

①スキンケア②悪化要因を見つけ取り除く事③薬物療法の3つが治療の基本となります。

これら3つのどれか一つがおろそかになっても、治療効果が下がります。
以下にそのそれぞれについて説明します。

①スキンケア
皮膚の表面についている皮脂などの汚れや汗、ほこり、日焼け止めの成分などを、刺激の少ない洗浄料とぬるま湯で洗い流して、皮膚の清潔を保つようにします。
また入浴やシャワー後には保湿を行います。
冬などの空気が乾燥する時期には加湿器を使用し、湿度を保つ事も良いでしょう。
②悪化要因を見つけ取り除く事
アレルギーの採血検査や家族歴、生活習慣の聞き取りなどから、患者様個々のアトピー性皮膚炎の増悪因子を検索します。検査により増悪因子が明らかになった場合には、対策を考え提案させて頂きます。
③薬物療法
当院では経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬以外の治療を行う事が出来ます。
外用薬
  • ステロイド外用薬(治療の基本となるお薬です)
  • タクロリムス水和物軟膏
  • ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
  • ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬
経口薬
  • 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)
  • ステロイド内服薬
  • 免疫抑制剤(シクロスポリン)
  • 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
  • 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は導入にあたり精密検査が必要になり、免疫力が下がるなどの副反応が出る可能性があるため、それに対応出来る施設でしか投薬出来ません。もし経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬をご希望の場合には、東北大学病院をはじめとした連携基幹病院に紹介させて頂きますのでご相談ください。
注射薬 ⁄ 生物学的製剤
  • ヒト型抗ヒトIL-4/13 受容体モノクローナル抗体 皮下注射(デュピクセント®
  • ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体 皮下注射(ミチーガ®
注射薬による治療は今までに何人もの患者様から人生が劇的に変わったと言われるほど、効果は非常に高いのですが、その分治療費もかなり高額です。例えばデュピクセントだと保険3割負担の方で、1ヶ月あたりで約37,000円かかります。ただし、自己注射へ切り替え、3ヶ月ごとの受診で治療を継続すれば、年収次第では、高額療養費の助成を受けることができるというメリットがあります。
これらの費用負担についてはクリニックで詳しくご説明いたします。
また、一部の企業にお勤めの方では、企業の健康保険組合による付加給付制度により、一定額以上は補助を受けることができる場合もあります。

また上記の3つに加えて個人差はあるものの、光線療法もアトピー性皮膚炎のかゆみには有効です。当院には全身型のナローバンドUVBと局所型のエキシマランプがあり、いづれの機器による治療もアトピー性皮膚炎に対しては保険適応があります。副作用はほとんどありませんが、週に1回程度の定期的な通院が必要になります。

じんましん

突然、強いかゆみとともに赤み(紅斑)や蚊に刺されたような症状(膨疹)が生じ、24時間以内に皮疹の出現、消退を繰り返す病気です。体のあらゆる部分にでき、目の周りや唇が腫れたり(血管性浮腫)、消化管が腫れたりすると下痢、喉頭浮腫になると呼吸困難になることもあります。感染症、全身性疾患、物理的刺激(擦過、寒冷、日光、温熱など)、食物、運動発汗(コリン性じんましん)精神的ストレス、薬剤などが単独で、もしくはいくつか重なり合ってじんましんを生じることもあります。しかし、70%のじんましんは原因不明で、いくら詳しく採血検査等を行っても、蕁麻疹につながる手がかりを得ることができない事も多いです。6週間以上継続する場合を慢性蕁麻疹と呼びます。

治療

抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服と原因究明・除去が基本となります。
食べ物などのアナフィラキシーの既往のある方にはエピペンの自己注射の指導も行います。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬で症状が抑えられない方には抗ロイコトリエン薬やH2ブロッカー(基本は胃酸分泌を抑える胃薬の目的で処方されるのですが、頑固な蕁麻疹にも効果があります。)を追加で処方したり、短期間の使用に限りステロイドの内服を処方する事もあります。
蕁麻疹はアトピー性皮膚炎や湿疹の治療とは異なり外用薬による治療はあまり効果がありません。外用薬の塗布はあくまで内服薬の服用を前提とした補助的な治療になります。
通常の治療でもコントロールが不良な難治性蕁麻疹の患者様には当院では下記の2つを行なっています。

①ヒスタグロビン注射(非特異的減感作療法)
特定のアレルギー物質に対して感受性を低下させる「特異的減感作療法」とは異なり、各種アレルギー反応を抑制 しアレルギー反応を起こしにくくする、根本的な改善療法になります。
②オマリズマブ(ゾレア®
ヒトのIgEに対するモノクローナル抗体製剤です。これも治療に難渋する方に使用します。
注射剤で効果は高いのですが、その効果に比例して値段も高いです。(だいたい3割負担の方で月1回6500円程度かかります。)通常は内服薬も併用している事がほとんどですので、支払いはこれに内服薬分のお会計も加えて考える必要があります。
色々と治療を試したが、効果に乏しいという場合に検討される治療法です。

薬疹

薬疹とは、病院で処方された薬や市販されている薬などを服用した際に発症する発疹です。漢方薬などの生薬でも発症し、サプリメントや健康食品などでも起こることがあります。薬を体内に摂取してから薬疹が現れるまでの期間には、短いものから長いものまでさまざまで、時には数週間~数年以上かかる場合があります。一般的には初めて摂取する薬であれば薬疹の発症までに2週間前後かかる場合が多いのですが、以前に摂取したことがあの場合は、摂取後すぐに症状が現れることがあります。
薬疹の中でも口や目、陰部などの粘膜部に皮疹が現れたり、発熱や水ぶくれが見られた場合は重症化のサインです。また薬疹には肝機能障害や腎機能障害、ときには肺炎などを合併することがあります。重症化すると後遺症が残ったり、命にかかわるケースもあります。薬を服用中に皮膚に異常を感じたり、薬疹の疑いがある場合はすぐに受診してください。尚その場合にはお薬手帳や薬の服薬履歴がわかるものを必ず御持参ください。

治療

多くの場合はその薬疹の原因となる薬剤を中止し、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服や、ステロイドの外用剤を用いることで改善しますが、重症の薬疹の場合はステロイドの内服投与を行ったり、ステロイドの点滴を行うこともあります。
内服や点滴でステロイドの大量投与が必要な重症薬疹の場合は、入院治療が必要となるため提携基幹病院に紹介させていただきます。

ニキビ(尋常性痤瘡)

ニキビの大きな原因は以下の3つがあります。

  1. 毛穴の詰まり
  2. 皮脂の過剰な分泌
  3. アクネ菌の増殖

ニキビは毛穴の角質が厚くなったり皮脂が過剰分泌されたりすることにより、毛穴の出口が詰まり皮脂が溜まってしまい、アクネ菌が毛穴の中で増殖することによって、引き起こされる皮膚の病気です。女性の場合、生理前にニキビや肌荒れが悪化してしまうこともあります。

治療

ニキビの状態(白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ)や重症度により適切な薬剤を選択し、処方します。

外用薬
ピーリング作用(角質剥離作用)のある外用薬 過酸化ベンゾイル、アダパレンなど 抗生物質の外用薬 クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど
内服薬
抗生物質(重症の場合に限り短期間使用) ビタミン剤 漢方薬
LED治療
オムニラックスブルー(自費で1回2200円)
  • 詳しくは 自費診療 の項目をご参照ください。

当院ではニキビ治療に力を入れており、LED治療器やノンコメドジェニック(ニキビの出来にくい)化粧品なども多数取り揃えております。また希望があれば正しい洗顔方法について説明させていただきます。ニキビに悩まれる方はお気軽にご相談ください。

タコ(胼胝)とウオノメ(鶏眼)

タコとは皮膚に力が加わり、皮膚の一部が皮膚の外側に向かって厚く硬くなってくるものです。骨の上の広い面に出てくることが多いです。
ウオノメとは硬くなった皮膚が内側に増殖していき、中心が芯のようになって深くなり、圧迫により痛みを伴うものです。
タコもウオノメもいづれも力や刺激がかかる場所におきる病気です。外反母趾などの骨の異常や靴(ヒール・サンダル・安全靴)・過度の負荷(ウォーキング・スポーツ)・肥満・歩き方・姿勢なども原因となります。原因となる力や刺激を取り除かない限りタコ・ウオノメは何度でも繰り返します。

治療

治療はメスやキュレットといった専用の器具を用いて問題となる皮膚の硬い所を削ります。
この処置は月2回を限度として保険が効きます。当たって痛くなることがなくただ固い状態であれば削らないこともあります。
皮膚を柔らかくするサリチル酸ワセリン軟膏や尿素クリームを硬い所に塗布して、症状を緩和するのも有効です。
原因となる力・刺激を取り除くことも大切です。

  • タコやウオノメによく似た病気であるイボ(尋常性疣贅)に関しては 小児皮膚科 の項目をご参照ください。

足水虫(足白癬)・爪水虫(爪白癬)

水虫とは、白癬菌というカビの一種が皮膚に感染することにより、引き起こされる病気です。爪に感染すると爪水虫(爪白癬)になります。 家庭で水虫の方とスリッパやお風呂の足拭きマットを共有することで感染したり、スポーツジム、銭湯、プールなどの人が裸足で歩く場所でも感染がおきます。 足底や足趾、足趾間にかゆみや皮むけ、ふやけなどの症状が生じ炎症が強いと、水ぶくれが生じます。ピンセットで皮膚の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌が確認出来れば、診断確定となります。 見た目が水虫に似ている病気は沢山あるため問診、視診のみで、確実に診断することはできません。あやしいと思ったら皮膚科を受診しましょう。

  • 市販の水虫薬を塗られておりますと正しい診断が出来なくなってしまいます。水虫が疑われる方は市販の水虫薬を塗らない状態でお越しください。

治療

・足水虫
抗真菌剤の塗り薬を2~3カ月間使用します。
完全に良くなったと思ってもそこから+1カ月間塗り薬を塗布するのが完治に導くコツになります。一度治癒してもすぐに再発を繰り返す方は、同居する家族に水虫の方がいないか、水虫の方と接する生活環境じゃないかを見直す必要があります。
・爪水虫
抗真菌剤の塗り薬と内服のいづれの治療もありますが、効果には大きな差があるため原則的には内服薬で治療します。今現在日本で爪白癬に保険適応のある内服薬は下記の3つです。
①ホスラブコナゾール(ネイリン®)
毎日1錠ずつきっちり3ヶ月間だけ飲み続けます。
②テルビナフィン(ラミシール®)
毎日1錠ずつ6ヶ月~12カ月間飲み続けます。
③イトリコナゾール(イトリゾール®)
パルス療法とよばれる「1日朝晩2回の服用を1 週間続けて、次の3週間は休む」を1 サイクルとして、それを3サイクル繰り返します。

飲み薬を希望されない場合や、肝機能障害がある場合は内服薬は使用出来ませんので、その場合には抗真菌剤のつけ薬(エフィナコナゾールもしくはルリコナゾール)を選択して治療します。

尋常性白斑

尋常性白斑は、皮膚の色が部分的に抜けて白くなってしまう病気で、全身の皮膚であればどこでも発症する可能性があります。
尋常性白斑は白く色の抜けた部分と、周辺の色素の残っている部分の境界が、線を引いたようにくっきりと分かれているのが特徴で、この点が学童の頬によく認められる白く色が抜けて見える はたけ(単純性粃糠疹)という病気との鑑別点になります。尋常性白斑のほとんどの方は部分的に肌が白くなること以外に特別な症状はありませんが、まれに甲状腺の病気や眼の病気、自己免疫性疾患といった他の病気を合併することがあります。このため、念のため血液検査を行ったり、異常があれば眼科や内科に並診したりすることがあります。
尋常性白斑の原因はまだ解っていません。しかし皮膚の病理組織検査で、自分の免疫細胞の一部が色素を作る細胞を攻撃している像が確認されており、何らかの局所的な免疫の異常の関与が疑われています。

治療

ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を使用します。また、紫外線(ナローバンドUVBやターゲット型エキシマライト)の照射を行います。
ただ尋常性白斑は難治性で慢性的に進行し、治療を開始しても完全に病気の進行を止めたり、白くなった皮膚を元に戻すのは困難な事も多いです。

乾癬(かんせん)

皮膚に紅斑ができ、次第にその表面が銀白色の細かいかさぶたで覆われ、やがてそれがフケのようにボロボロとはがれる皮膚の病気です。
かゆみの程度は個人差がありますが、乾癬患者さんの約5割でかゆみが認められ、時に強いかゆみを生じる場合もあります。また、爪が白く濁ってきてもろくなったり、関節炎の症状が合併する事もあります。乾癬を起こす原因は今のところ完全には解明されておりませんが、遺伝的な要因を有する患者さんに外部からの何らかの要因(感染や精神的ストレス、薬剤など)が加わり、免疫異常が生じ炎症が起きることが推定されています。
炎症性角化症の代表的な病気が乾癬であり、その症状によって5つのタイプ(尋常性乾癬、関節性乾癬、膿疱性乾癬、滴状乾癬、乾癬性紅皮症)に分けることができます。

治療

治療方法は大きく分けて外用療法、内服療法、光線療法(紫外線照射)、生物学的製剤(注射または点滴)の4種類あります。乾癬の病型や範囲、症状の強さにより、患者様の希望も聞きながら、最適なものを単独もしくは組み合わせて治療します。

外用薬
  • ステロイド外用薬
  • ビタミンD3外用薬
  • ステロイドとビタミンD3の配合外用薬
内服薬
  • ビタミンA誘導体
  • 免疫抑制剤
  • PDE4阻害薬
光線療法
  • ナローバンドUVB
  • ターゲット型エキシマライト
生物学的製剤
生物が作り出すタンパク質をもとに作られた薬で、皮下注射や点滴で投与され、体の免疫機能などに関わる物質である「サイトカイン」の働きを弱める薬です。
  • 乾癬分子標的薬使用承認施設でのみ使用可能なため、乾癬の症状が重度で、使用を希望される方は提携承認施設に紹介させていただきます。

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症はウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気で、周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。また、鎖骨や胸の中央(胸鎖肋関節症)やその他の関節が痛くなることがあります。手足の皮疹は水虫によく似ていますので、診断をはっきりさせるために皮膚表面の角層を一部取り、顕微鏡で調べて、水虫を起こすカビ(白癬菌)がいるかどうか調べる必要があります。はっきりとした原因は不明ですが、喫煙(掌蹠膿疱症の8割以上が喫煙者)、慢性扁桃炎や虫歯などの病巣感染(慢性の感染症)や歯科金属アレルギーが関与しているのではないかと言われています。

治療

喫煙をされている方はまず禁煙をしましょう。
多くの方が禁煙により症状が改善します。
歯科金属のアレルギーが疑われる人は、歯科金属を除去することで、虫歯や慢性扁桃炎を持っておられる方はそれらの治療をする事で、症状が改善することもあります。
薬物療法を下記に示します。

外用薬
  • ステロイド外用薬
  • ビタミンD3外用薬
内服薬
  • 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)
  • ビタミンA誘導体
  • 免疫抑制剤
    ビオチン療法が効く場合もあります。
光線療法
  • ターゲット型エキシマライト
生物学的製剤
皮疹が広範囲で重症の場合、または掌蹠膿疱症性骨関節炎(胸骨・鎖骨・肋骨などに強い痛みを生じる)を認める場合には適応があります。
乾癬のときと同様に使用出来る施設が限られていますので、使用を希望される方は提携承認施設に紹介させていただきます。

円形脱毛症

円形脱毛症はなんらかのきっかけによって、毛を作る毛包周囲に炎症が起き、一部のリンパ球が毛包の組織を壊そうとする自己免疫反応が起きて、その影響で毛が抜けてしまう病気です。
脱毛症状は頭部に1個、円形にでることもあれば、頭部に多発したり、眉毛や睫毛、髭のみ、体毛のみに生じるなど、身体のどの部分にも起きる可能性があります。さらに、症状がおもい場合には、頭全体、あるいは全身の全ての毛が抜け落ちる場合もあります。また人によっては繰り返し再発する事もあります。

治療

外用薬
  • ステロイド外用薬
  • 塩化カルプロニウム外用
内服薬
  • セファランチン
  • グリチルリチン
  • 抗アレルギー薬
  • ステロイド(重症の場合)
光線療法
  • ナローバンドUVB
  • ターゲット型エキシマライト
ステロイド局所注射
ケナコルト®を4~6週間間隔で頭皮の脱毛部に注射します。1回に注射できる薬液量には限りがあるため、広い範囲の脱毛にはむきません。
局所免疫療法
人工的にかぶれを起こす化学試薬、スクアレン酸ジブチルエステル(SADBE)を使って、かぶれを起こさせることにより発毛を促す治療方法です。 効果は高く日本皮膚科ガイドラインでも推奨度B(行うよう勧められる)の治療法ですが、保険適応が認められていません。当院では1回1500円の自費診療で行っております。
  • 詳しくは 自費診療 の項目をご参照ください。
JAK阻害薬
2022年6月より難治性の円形脱毛症に適応となりました。高額で処方可能な施設も限られていますので、難治でJAK阻害薬の使用を希望の方は処方可能な提携施設に紹介させていただきます。

帯状疱疹

帯状疱疹とは水痘・帯状疱疹ウイルスが原因の病気で、過去に水ぼうそうになったことがある人は誰でもなる可能性があります。 体の左右どちらか片方の比較的狭い範囲に、水ぶくれ(水疱)をともなう赤み(紅斑)を生じます。帯状疱疹の「疱疹」とは小水疱が集合した状態をいいます。
帯状疱疹の特徴的な症状として「痛み」があります。痛みを感じない患者さんもいますが、多くの場合で何らかの痛みや違和感を感じます。痛みの程度は「ぴりぴり・ちくちく」した痛みから「夜も寝られないくらいの激しい痛み」までさまざまです。痛みは皮膚の症状に1週間程度先行して起こることがあります。この痛みだけで発疹がまだ出てない状態では、帯状疱疹と診断することは困難で、整形外科や内科を受診し、肋間神経痛などと診断をうけ鎮痛剤などを処方されている方もいらっしゃいます。
帯状疱疹の皮疹は、通常であれば数週間で改善しますが、皮疹が治った後の神経痛(帯状疱疹後神経痛)は人により数ヶ月から数年続くことがあります。また帯状疱疹が顔に生じると、顔面神経の麻痺や視力の低下などを起こすことがあるので注意が必要です。
帯状疱疹後神経痛などの後遺症の症状を出来るだけ軽くするためにも、なるべく早くに皮膚科を受診して治療を始めましょう。

治療

水痘・帯状疱疹ウイルスが原因ですので、このウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の内服を行います。また痛みの程度により鎮痛剤や神経痛治療薬などを併用することもあります。痛みがあまりにも強い場合には疼痛緩和の専門医であるペインクリニックに紹介することもあります。

生活上の注意点

帯状疱疹の患者さんは周りの人に水ぼうそうをうつす可能性があります。水ぼうそうにかかったり予防接種を受けたりしたことがなく、水ぼうそうに対する免疫を持っていない人になら、大人にも子供にも水ぼうそうは感染します。帯状疱疹は水ぼうそうほど伝染力は強くなく、一般的には空気感染しないとは言われていますが、念のため免疫のない人、とくに赤ちゃんや子どもには近づかないようにしましょう。また空気感染の可能性は低くて も、接触感染はします。触るとうつりますので、とくに赤ちゃんや子どもを抱き上げたりしないように注意してください。またタオルやリネン類、食器なども共有しないようにしてください。

  • 当院では帯状疱疹の予防注射も行っています。気になる方はご相談下さい。

詳しくは 自費診療 の項目をご参照ください。

やけど(熱傷)

やけどは日常生活で最も多いケガの1つです。皮膚に様々な熱源(熱い液体や金属、炎など)が接触することにより皮膚や粘膜に障害を生じた状態です。やけどの重症度は、やけどの深さや範囲によって判断します。やけどはその障害された深さにより1~3度熱傷に分けられます。
1度熱傷は表皮熱傷ともよばれ、赤くなるのみで跡を残さずに数日でなおります。2度熱傷は水疱やびらんとなり、痛みを伴います。2度熱傷は真皮の浅い部位のやけどである浅達性2度熱傷と、それよりも深い部位のやけどである深達性2度熱傷に分類されます。深達性2度熱傷の場合には適切な治療を受けても治るのに1ヶ月以上かかり、瘢痕(きずあと)や瘢痕拘縮(ひきつれ)をのこすことが多いです。3度は皮膚の深部まで障害されるため皮膚は白~黒色に壊死し、痛みもありません。

治療

やけどした場合に重要な事はまず患部を水道水で十分に冷やすことです。(氷などで冷やすと逆に凍傷をまねく場合もあるので、水道水で十分です。)最低でも20分以上は患部を冷やし、病院を受診してください。初期対応としてしっかり冷やされた方はそうでない方に比べ、皮膚のダメージが軽減され、治療日数も少なくて済みます。1度~2度(浅達性)の熱傷では創傷被覆剤やワセリンなどの皮膚の保護剤、ステロイド外用薬などの塗り薬によ る保存的治療がメインになります。2度(深達性)~3度のやけどは抗皮膚潰瘍薬などの外用治療や場合によって は植皮術が必要となることがあります。もし手術が必要な場合には提携基幹病院へ紹介します。

蜂窩織炎

蜂窩織炎(蜂巣炎)は、顔面や四肢、特に下肢の真皮下層から脂肪組織に生じる細菌感染症です。顔面、体幹、四肢などが痛みと共に急に赤く腫れ、熱感を伴い急速に周囲に広がります。発熱や悪寒などの全身症状を伴うことも多いです。起因菌(原因となる細菌)は黄色ブドウ球菌が多いですが、溶血レンサ球菌など様々な細菌が起因菌となります。これらの菌は、毛穴や汗管(汗の出る管)、小さい傷から、皮下脂肪組織に侵入して蜂窩織炎を発 症します。下肢、特に足水虫による傷口から細菌が侵入して生じたものが多いです。リンパのうっ滞や浮腫が原因になることもあります。糖尿病がある方や免疫抑制剤治療中の方は重症化する可能性があるので、慎重な経過観察が必要です。

治療

抗菌薬の内服、点滴など全身投与による治療を行います。下肢の場合は患部の位置を高くし患部の安静を保つことが大切です。炎症が重度である場合には入院が必要となるため、提携基幹病院に紹介させて頂きます。

ご相談やお悩みは、お気軽にお問い合わせ下さい

022-341-88319:30~12:3014:30~18:00