くまのみ皮ふ科クリニック

小児皮膚科

診療案内

子供の皮膚は大人に比べてバリア機能が不十分で、免疫機能も不完全なため、いろいろな皮膚感染症にかかりやすいです。また小さな子供は自分の症状をうまく言葉で伝えられないことも多く、気づかないあいだに症状をこじらせてしまう事もあります。症状がひどくなる前に、早め早めの受診を心がけましょう。

乳児湿疹

特別に乳児湿疹という病名があるわけではなく、皮膚のバリア機能が不完全な乳児期(0~1歳)に多く認められる以下のような皮膚病を総称して乳児湿疹といいます。

乳児脂漏性皮膚炎(頭や顔に黄色のかさかさを伴う湿疹)

胎盤を介した母親からのホルモンの影響を受け、赤ちゃんの皮脂の分泌は盛んです。生後2~4週頃から頭、まゆ毛部・額などの皮脂の分泌が多い場所に皮膚炎が生じ、カサついたり、黄色っぽい痂皮(かさぶた)が付着する病気です。

治療

石鹸やシャンプーを用いて一日に一回は洗顔・洗髪を行いましょう。黄色い痂皮が頭皮などに頑固に固着している場合には、ワセリンやオリーブ油などを患部に塗り、30分くらい十分に浸軟させてから、よく泡立てた石鹸で優しくしっかり洗ってください。必要に応じて非ステロイド軟膏やステロイド軟膏を使用することもあります。

新生児ざ瘡(新生児に認められるニキビ)

胎盤を介した母親からのホルモンの影響を受け、赤ちゃんの皮脂の分泌は盛んです。
この皮脂腺の分泌が盛んなことが原因で、脂漏性皮膚炎だけでなくニキビが生じる事もあります。
赤ちゃんのおよそ20%に認めます(男の子に多いのが特徴です)。
生後2週頃より発症します。

治療

一日に一回は入浴して、よく泡立てた石鹸(もしくは泡状の石鹸)を用いてしっかり洗いましょう。適切にスキンケアを行うと数週間で改善する事がほとんどです。

皮脂欠乏症や皮脂欠乏性皮膚炎

生後半年を過ぎると今までとは逆に皮脂分泌が減少しますが、赤ちゃんの皮膚は水分蒸発を抑えるものがないため、肌が乾燥してしまいます。乾燥が長く続くことで、皮ふのバリア機能が低下し、湿疹が現れます。

治療

まずは皮膚の保湿をしっかりと行います。必要に応じて非ステロイド軟膏やステロイド軟膏を使用することもあります。当院では処方薬や市販薬などが合わないなど、お肌の弱い患者様にむけて適切な保湿剤を取り揃えておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

おむつ皮膚炎(おむつかぶれ)

便や尿に含まれるアンモニアや消化酵素などで皮膚が刺激され、おむつの当たるところに赤いブツブツやただれが生じた状態です。おむつの中の蒸れやおむつと皮膚の摩擦によっても起こります。
おむつに覆われる部分は、カンジダ皮膚炎という、カビによる別の病気も起こりやすいので、きちんと受診し、診断してもらうことが重要です。

治療

おしりをゴシゴシと拭きすぎず、排便のあとは優しくしっかりと洗いましょう。またおむつをこまめに取り換える事も重要です。
皮膚を保護する外用薬や炎症が強い場合などは弱いステロイド外用薬を使用する事もあります。
胃腸炎などで頻回に下痢が認められる場合にはその治療のために小児科を受診して頂くこともあります。

汗疹(あせも)

汗疹とは汗をたくさんかいた後に、皮膚に細かい水ぶくれやブツブツが現れる皮膚病で、汗をかきやすい夏に多く発生します。大人に比べて汗をかく機能が未熟な乳児は、外気温の変化により汗が多くでて汗疹を生じやすいです。ほぼ無症状で自然治癒する事も多いですが、炎症が生じるといわゆるかゆい「あせも」となります。

治療

汗をたくさんかくような室内環境や肌着の見直しに加え、スキンケアをきちんと行い、かゆみがある場合は弱いステロイド外用剤を用います。掻いて悪化しているような場合は、かゆみ止めの内服も行う場合があります。

尋常性疣贅(イボ)

ヒトパピローマウイルスによる指先や足の裏に生じる感染症です。足裏にできたものは、うおのめや、たこと間違われることがありますが、大人と違って子供の足にうおのめやタコが出来る事はあまりありません。
イボを放置すると増大、増数し歩行時に痛みが出てきます。
ダーモスコピーという拡大鏡を使うことでこれらを見分けることが出来ます。

治療

1~2週間に一度のペースで行う液体窒素による凍結療法が基本です。根気よく治るまで通院しましょう。イボがかたく盛り上がる場合にはメスなどで角質を削ってから凍結療法を行う事もあります。イボが多発する場合には、しばしば漢方薬のヨクイニン(ハト麦のエキス)の内服を併用します。治療効果を上げるため、角質軟化作用のあるサリチル酸ワセリンなどの外用薬を併用したり様々な工夫を行います。

伝染性軟属腫(水イボ)

伝染性軟属腫ウイルスが皮膚表面に感染しておこる感染症です。腕やお腹など皮膚の柔らかい所を中心にポツポツとしたもりあがりができます。表面が水っぽく見えたり、中に水がたまっているように見えるので俗に水イボと呼ばれています。子供にできるありふれた病気の一つですが、まれに大人にできることもあります。

治療

ピンセットや水イボ鑷子という専用の道具を用いて1 水イボを1個ずつ丁寧に取っていきます。
水イボの数が多い場合には治療時の痛みを抑えるために処置の1時間程前に麻酔のテープを貼る場合もあります。
あまりに数が多い場合や、どうしても除去が困難な場合には自費になりますが、m-BFクリーム(税込¥2,200)を外用して経過をみる事もあります。

伝染性膿痂疹(とびひ)

細菌が皮膚に感染し増殖することで発症し、人にうつる病気です。夏季に幼小児に多くみられます。かきむしった手を介して、水ぶくれがあっという間に全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火することに似ているため、”とびび”と呼ばれています。原因となる細菌は黄色ブドウ球菌が大部分ですが、溶血性レンサ球菌によるもの、それらの混合感染もあります。

治療

原因となる細菌に対する抗生物質の飲み薬と塗り薬で治療します。また患部をしっかりと1日に2回、石けんを用いて洗浄し、皮ふに付着する増殖した細菌を洗い流す事も重要です。

水痘(水ぼうそう)

水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症で、空気感染する非常に感染力の強い病気です。
約2週間の潜伏期を経て37~38度の発熱および体中に赤いブツブツができます。ブツブツはやがて水ぶくれとなり、約1 週間から10日でかさぶたになります。

治療

抗ウイルス薬の内服と外用です。
予防接種をしていれば、重症になる事はあまりありませんが、それでも高熱が続き食事がとれない場合などには、入院が必要になる事もあります。
全ての水ぶくれがかさぶたになるまで感染力があるため、登園・登校は水ぶくれが全てかさぶたになってからになります。

手足口病

口の中や手足などに小水疱が生じるウイルス感染症です。コクサッキーA16やエンテロ71などが原因ウイルスとなります。症状としては、感染してから3~5日後に口の中、手のひら、足の裏や足背などに2~3mmの水疱が現れます。発熱は約3分の1に見られますが、ほとんどはあまり高くなりません。夏によく流行します。

治療

治療薬はありません。経過を観察しながら、その症状に応じた対症療法を行っていきます。多くは数日のうちに治ります。まれに脳炎を合併します。 水ぼうそうなどの水疱を生じる別の疾患と鑑別することが大切です。
また感染予防のために、患児と大人がしっかりと手洗いをすることが大切です。特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください。

伝染性紅斑

ヒトパルボウイルスB19による感染症です。両頬の平手打ち様の紅斑と四肢伸側に生じる網状紅斑が特徴です。頬がりんごのように赤くなることから、よくりんご病と呼ばれます。症状としては、最初に風邪のような症状が出て、しばらくすると両頬が赤くなり、その後、腕や太ももにレース模様のような紅斑がでます。わりと元気に過ごすことが多いです。

治療

治療薬はありません。 経過を観察しながら、その症状に応じた対症療法を行っていきます。紅斑が出現したときには、ウイルスの排出はほぼおさまっているので、診断後に学校などを欠席する必要はありません。(妊婦さんに感染すると、胎児水腫を生じることがあり、流産・死産の原因となります。妊娠希望のお母さんはうつらないように注意してください。)

アタマジラミ症

アタマジラミは、人の頭部に寄生するシラミで、アタマジラミが寄生すると頭皮から吸血し、かゆみを起こします。成虫は2~4mm大で俊敏に動き回ります。卵は白く0.5mm大で髪の毛にしっかり付着しており簡単には取れません。1週間から10日でう化します。髪の毛に白く付着しているものには、他にふけや、毛根部の皮膚がリング状に抜けたヘアキャストなどがあります。お子さんの間では、遊びの中や集団でお昼寝をするなど、頭を接触する機会が多く、季節を問わず発生します。

治療

薬局で駆除剤(シャンプータイプ、パウダータイプ)が市販されていますので、それを使って治療します。使用の際は、用法、容量を守って使用してください。駆除できるまで、10日から14日程度かかります。またお子さん自身の洗髪では十分でないこともあるので、保護者の方が髪の生え際までしっかり洗い、よく流してください。

赤あざ・青あざ・茶あざ・黒あざ

あざとは皮ふに色がついている状態の事で、4種類あります。

  • 赤あざには単純性血管腫やいちご状血管腫など
  • 青あざには異所性蒙古斑や青色母斑など
  • 茶あざには扁平母斑や表皮母斑など
  • 黒あざには色素性母斑や巨大色素性母斑など

各あざにはそれぞれ様々な種類の病気が含まれています。
大体のあざはその見た目と場所、生まれつきあるのか、成長とともに出てきたのかなどの情報から区別が可能です。
あざが悪い病気になる事はほぼなく、治療せずに放置しておいて大丈夫ものがほとんどですが、中には機能的・整容的な面から考えて、小さいうちから積極的に治療した方がよいあざもあります。
お子様のあざが気になる場合には是非一度ご相談ください。

ご相談やお悩みは、お気軽にお問い合わせ下さい

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